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フセイン元大統領 アーカイブ

2007年12月30日

フセイン元大統領処刑から1年、イラクで消えぬ宗派対立

フセイン元大統領の絞首刑が執行されてから30日で1年。写真はバグダッドで開かれた公判で死刑を言い渡され、右手人さし指を突き上げて叫ぶフセイン元大統領(2006年11月5日撮影)

 【カイロ=宮明敬】イラクのフセイン元大統領が判決確定後わずか4日で絞首刑に処せられてから、30日で1年が過ぎた。

 死刑執行人がイスラム教スンニ派の元大統領をののしり、シーア派指導者を礼賛する映像がネットで流され、死刑は宗派対立をさらにあおる結果になったが、シーア派主導のマリキ政権は1年後の今も、その傷を癒やし、国民和解を実現する政治的措置を講じられないでいる。

 テロと宗派対立に揺れる「フセイン後のイラク」で、国民和解を進める施策として注目された「非バース化」緩和法案は今年11月、国民議会に提出されたが、成立の見通しは立っていない。フセイン政権を担ったために公職追放された旧バース党員(スンニ派が主流)を、再び公職に復帰させる法案だが、シーア派強硬派指導者ムクタダ・サドル師の影響下にある議員らが強く反発しているからだ。

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2007年03月20日

イラクでラマダン元副大統領の絞首刑執行

 【カイロ=柳沢亨之】イラクからの報道によると、昨年末に処刑されたサダム・フセイン元同国大統領と同様、1982年に同国中部ドゥジャイル村民148人を殺害した「人道に対する罪」で死刑が確定していた元副大統領のタハ・ヤシン・ラマダン死刑囚が20日未明、絞首刑を執行された。

 ドゥジャイル村事件で処刑された旧フセイン政権幹部は、元大統領、今年1月のバルザン・イブラヒム元情報機関長官、アワド・バンダル元革命裁判所長に続き、4人目。20日は、旧政権崩壊を招いたイラク戦争開戦から、ちょうど4年にあたる。

 ラマダン元副大統領に対しては、昨年11月のイラク高等法廷の一審がいったんは終身刑判決を言い渡したが、翌12月、上訴審が差し戻しを決定。今年2月の差し戻し審は死刑判決を下し、2度目の上訴審も今月15日、これを支持したため、死刑が確定していた。

(2007年3月20日12時0分 読売新聞)

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2007年03月10日

フセイン裁判の裁判長、英へ亡命申請…暗殺恐れて

 【カイロ=柳沢亨之】中東の衛星テレビ、アル・ジャジーラは9日、イラクのフセイン元大統領に昨年11月、死刑判決を下した同国高等法廷のラウフ・アブデルラフマン裁判長が今月、滞在先の英国で英政府に亡命を申請したと伝えた。

 裁判長本人と家族の暗殺を恐れているためで、英政府は現在、申請の諾否を検討しているという。

 クルド人の同裁判長は、元大統領や弁護人への退廷命令を連発する強硬姿勢で知られ、旧フセイン政権の支配層だったイスラム教スンニ派などの強い反発を招いていた。元大統領は昨年12月末、死刑を執行された。

(2007年3月10日11時42分 読売新聞)

2007年01月13日

フセイン元大統領「礼賛」、アラブの官民に広がる

 【カイロ=柳沢亨之】昨年12月30日にバグダッドで死刑が執行されたサダム・フセイン元イラク大統領に対する賛美や処刑非難の動きが、アラブ諸国の官民双方の間で広がっている。

 「反イスラエル」を最後まで叫んだ元大統領へのアラブ大衆の共感と、政変が自分たちにおよぶのを防ぎたい政権側の思惑が、図らずも一致した形だ。

 「言葉を失った。死刑判決……。連中が書いた脚本通りだ。処刑が始まる」——。アラブ世界で絶大な人気を誇るエジプトのポップ歌手、シャアバン・アブドルラヒム氏(50)が元大統領処刑を非難して、近く発表する歌の一節だ。

 地元報道によれば、アブドルラヒム氏は、イスラム教の祝祭「犠牲祭」初日の死刑執行に衝撃を受け、曲作りに励んだという。同氏は大衆の鬱屈(うっくつ)した反米・反イスラエル感情に訴えた歌風で知られる。

 エジプトやヨルダンでは、民主化を求めているはずの野党勢力が処刑への抗議デモを行い、アラブ有数の独裁者だった元大統領の肖像を掲げ、英雄扱いしている。カタール紙も、論説記事の中で「サダムは勇敢に絞首台に向かい、米、イスラエル両国に挑んだ」などと称賛した。

 一方、各国の政権側にも「フセイン礼賛」の動きが出ている。

 カダフィ大佐率いるリビア政府は今月4日、絞首台へ向かう元大統領の「彫像建設計画」を明らかにした。同じく絞首刑に処されたリビア反植民地闘争指導者の彫像の隣に置かれる予定という。

 アルジェリアの政権与党は、「民族と統一パレスチナ、イラクの主権を信じたアラブ指導者を暗殺した」と処刑を非難する声明を発表した。

 こうした動きの背景には、米国やイスラエルの域内介入を防げないアラブ指導者に対する大衆の「無力感」(エジプト政治評論家)がある。

 また、各国の指導者側にとっても、既存の政権が崩壊すれば「サダム後のイラクのような混乱が起きると(米国に)警告する狙い」(同)を込めているとみられる。

(2007年1月13日18時50分 読売新聞)

2007年01月07日

処刑懸念の米側に「とにかくフセイン渡せ」 米紙が内幕

 昨年12月30日にイラクのサダム・フセイン元大統領が処刑される前、米当局者らは、懸念を表明し、前夜まで2日間にわたって身柄引き渡しに抵抗していた。だが、主権を盾にしたマリキ政権に押し切られ、最終的にはライス米国務長官がやむないと判断した——ニューヨーク・タイムズ紙が7日、そうした元大統領の処刑前後の内幕を詳しく報じた。

 同紙によると、イラク政府は判決が12月26日に確定した後、まず同28日午後、元大統領の身柄を処刑のため引き渡すよう米側に要請した。

 この時点で、イラク米軍のケーシー司令官も、カリルザード駐イラク大使も休暇で国外に出ていた。このため、実際に拘束を担当している部隊司令官の少将と、大使館の政務部門責任者がイラク側との協議に出席した。

 イスラム教の祝日「犠牲祭」入りを前にした駆け込み執行であることなど、米側の懸念に対し、イラク側のルバイエ国家安全保障顧問は「これはイラクの問題だ」と怒り、別のイラク高官は、「とにかく引き渡せ」と怒鳴ったという。

 協議は翌29日に持ち越され、さらに押し問答の状態で同夜まで続いた。国外にいたカリルザード大使が同午後10時半にマリキ首相に電話を入れたが、首相はあくまで処刑を主張した。大使がワシントンのライス長官に連絡、同長官が、身柄引き渡しを許可するよう最終判断を下した。

 元大統領は30日午前5時半、イラク司法省の拘束施設内で、身柄を引き渡された。立ち会ったルバイエ顧問に「恐れるな」と言う余裕をみせた。執行官の中から「お前はイラクに悪をなしたのだ」と怒声を浴び、「私は、遅れた国を、発展し繁栄した国にしたのだ」と述べたという。

 縄を首にかけられ、イスラム教の祈りを唱えている最中、午前6時10分に足元の床が開いた。

2007年01月07日22時32分 asahi.com

2007年01月05日

米大統領、「尊厳」なき処刑を批判 映像流出で2人目拘束

バグダッド(CNN) フセイン・イラク元大統領の処刑をめぐり、ブッシュ米大統領は4日、「もっと尊厳ある執行ができたはずだ」と述べ、処刑場面の混乱した状況を批判した。メルケル・ドイツ首相との会談後の記者会見で語った。一方、処刑の映像が流出した問題で、イラク当局は同日、2人目の刑務官を拘束した。

ブッシュ大統領がフセイン元大統領の処刑について、カメラの前でコメントしたのは初めて。執行の方法に疑問を示したものの、「イラク史上の恐ろしい章が幕を閉じたことは確かだ」と語り、「正義」による裁きだったとの見方をあらためて強調した。

処刑場面の映像流出問題では、すでに死刑執行に関わった刑務官1人が拘束されていた。新たに拘束された刑務官も、この1人と同様、携帯電話で処刑場面を撮影・録音し、外部へ流した疑いで取り調べを受けている。イラクのアスカリ首相顧問はこの問題について、「死刑執行中に間違いがあった」と認める一方、「政府に責任はなく、個人の行為だ」と述べた。

ブッシュ大統領によると、イラクのマリキ首相は4日の電話会談で、処刑場面の撮影者などについて徹底的に調べることを約束した。

CNN 2007.01.05 14:59

2007年01月04日

フセイン処刑、イラク当局の対応に不快感…米軍報道官

 写真は3日、記者会見に臨むコールドウェル報道官。(c)AFP/SABAH ARAR

 【ワシントン=貞広貴志】イラクからの報道によると、イラク駐留米軍のコールドウェル報道官は3日の記者会見で、フセイン元大統領の死刑の執行について「米国が物理的に(刑執行を)担当していたなら、別のやり方をしていただろう」と述べ、米軍から身柄を引き受けた直後に処刑したイラク当局の対応に不快感を示した。

 国務省のマコーマック報道官も3日の定例会見で、米当局者が刑執行前にマリキ首相などに対し、「(処刑の)手続きと時期について問題提起していた」ことを確認、イスラム教の祝日に処刑することでスンニ派の抗議を招いた事態に遺憾の意を表明した。

(2007年1月4日19時43分 読売新聞)

フセイン側近2人、死刑執行は延期 - イラク

 写真はイラク高等法廷で、死刑宣告を受けた直後のイブラヒム元国家情報局長官(右)とバンダル元革命裁判所長(2006年11月5日撮影)。(c)AFP/DAVID

【バグダッド/イラク4日 AFP】2005年12月30日に絞首刑が執行されたサダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領に続き、死刑判決を受けていたフセイン元大統領の側近2人の死刑執行が延期された。フセイン元大統領の絞首刑に対する国際社会からの非難を受けて延期された。

 死刑執行が延期されたのは、フセイン元大統領の異父弟のバルザン・イブラヒム・ティクリティ(Barzan Ibrahim al-Tikriti)元国家情報局長官と、アワド・ハミド・バンダル(Awad Hamed al-Bandar)元革命裁判所長。1982年にフセイン氏暗殺未遂があったバグダッド北郊ドゥジャイル(Dujail)村のシーア派住民148人の虐殺を命じた「人道に対する罪」で元大統領とともに有罪、死刑の判決を受けていた。

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国連の潘事務総長、フセイン側近の処刑中止を支持 - 米国

 写真は3日、国連本部に到着し記者会見に臨む潘事務総長。(c)AFP/DON EMMERT

【ニューヨーク/米国 4日 AFP】潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)新国連事務総長は3日、ルイーズ・アルブール(Louise Arbour)国連人権高等弁務官がサダム・フセイン(Saddam Hussein)イラク元大統領の側近2人の処刑中止の要請したことに関し、これを支持する意向を表明した。ミシェル・モンタス(Michele Montas)国連報道官が伝えた。

 2006年12月30日のフセイン元大統領の処刑について、潘事務総長は2日、非難も支持もせず、「死刑の問題はそれぞれの加盟国が決めることだ」と述べていた。

 ところが3日、同報道官は「潘事務総長は世界人権宣言が第3条で掲げている理念に共感しており、アルブール人権高等弁務官が要請した処刑中止を強く支持する」とのコメントを発表した。世界人権宣言第3条には、「すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する」と定められている。

 イラク政府当局はこのほど、イラク高等法廷が下した判決に基づき、フセイン元大統領の異父弟のバルザン・イブラヒム(Barzan Ibrahim al-Tikriti)元国家情報局長官と、アワド・ハミド・バンダル(Awad Hamed al-Bandar)元革命裁判所長を4日に絞首刑にするとの決定を発表。これを受けて、アルブール人権高等弁務官は3日、処刑の実施を中止するよう要請していた。

AFP 2007年 01月 04日 10:30:18

フセイン元大統領死刑の隠し撮り、刑場の護衛1人逮捕

 写真はバグダッド市内の店で、携帯で隠し撮りされたフセイン元大統領の処刑映像を見るイラク人。(c)AFP/WISSAM SAMI

 【カイロ=岡本道郎】イラク当局は3日、先月30日行われたイラクのフセイン元大統領の死刑の様子を携帯電話に付いたカメラで隠し撮りし、テレビ局やウェブサイトに提供していた刑場の護衛1人を逮捕した。

 米CNNテレビとAFP通信が3日、複数のマリキ首相側近の話として報じた。当局が動機などを事情聴取中という。

 イラク政府はこれに先立つ2日、元大統領の首に縄がかけられるシーンや周囲からの罵声(ばせい)などを収めた戦慄的な映像が全世界に流れたことで、死刑執行の手法に対し内外の強い批判を招いた事態を重視、死刑執行時に絞首台周辺にいた立会人など関係者全員について、内務省に特別委員会を設置して事実関係の調査を行うことを命じていた。

(2007年1月4日0時57分 読売新聞)

2007年01月03日

フセイン元大統領処刑に抗議デモ ビデオ流出を調査

 イラクのフセイン元大統領の処刑に、元大統領支持者の多いイラクのスンニ派地域に加え、中東各地でも抗議デモが続いている。処刑台の元大統領が罵声(ば・せい)を浴びる場面をおさめたビデオも流出。アラブメディアは「これは処刑ではなく報復」と伝えた。処刑を機に「各派の和解」を演出しようとしていたイラク政府は、撮影の経緯の調査を始め、火消しに躍起になっている。

 フセイン元大統領の出身地ティクリート周辺やバグダッドのスンニ派地域などでは、処刑後から追悼集会やデモが相次いだ。ヨルダンやパレスチナ自治区、イエメンでもデモがあった。

 携帯電話のカメラで撮ったとみられる処刑場面の映像がインターネットに流出したことも、火に油を注いだ。映像では、立会人らが「地獄に落ちろ」などと叫び、フセイン政権下で処刑されたシーア派指導者らの名を連呼。元大統領は「それでも男か」と皮肉った。

 アラブ圏紙アルハヤトは3日「処刑のやり方も時期も、シーア派の報復感情を明確に示している」と論評した。

 イラク政府は2日、映像流出の経緯の調査を始めた。立会人の一人だったファルーン検察官は英BBCテレビに同日「2人の高官が携帯電話を持ち込んでいた」と語っており、政府関係者が映像を隠し撮りした可能性が高い。

 AP通信は3日、イラク政権高官の話として「処刑監督官の一人」が拘束されたと伝えた。別の高官はロイター通信にこの報道を否定した。

2007年01月03日23時41分 asahi.com

フセイン大統領死刑の隠し撮り、政府関係者を聴取か

 【カイロ=岡本道郎】イラク政府は2日、先月30日行われたフセイン元大統領の死刑の様子が隠し撮りされ、全世界のテレビニュースやネット上に戦慄的な映像が流れると同時に、立会人などから元大統領へ罵声(ばせい)が浴びせられ、内外の批判を招いている事態を重視、死刑執行人や立会人など、執行時に絞首台周辺にいた関係者について、内務省に特別委員会を設置して事実関係の調査を行うことを命じた。

 問題となっているのは、何者かが携帯電話に付いたカメラで隠し撮りした約2分半にわたる死刑執行直前までの映像。

 AP通信は3日、マリキ首相側近の話として、隠し撮りを行ったと見られる人物が同日、当局に逮捕されたと伝えた。同側近は、この人物を特定していないが、「死刑執行に立ち会った政府関係者」で、事情聴取を受けているという。

(2007年1月3日23時4分 読売新聞)

フセイン処刑:映像流出で調査委設置 イラク首相

 【カイロ高橋宗男】イラクのマリキ首相は1日、フセイン元大統領への死刑執行の様子を撮影したビデオ映像が流出し、抗議デモが広がっている問題で、調査委員会を設置し、撮影した人物を処罰する方針を発表した。

 AP通信にイラク人検察官が語ったところによると、撮影していたのは2人の政府当局者で、うち1人はすでに拘束されているという。携帯電話で撮影していたとの証言もある。

 映像には元大統領を罵倒(ばとう)する声や、「ムクタダ、ムクタダ」とシーア派の対米強硬派指導者ムクタダ・サドル師の名を連呼する声も録音されており、調査委はこうした声の主についても調査する意向だという。

 一方、首相の政治顧問は「元大統領の犯罪に当てるべき焦点をぼやかそうとしている」とスンニ派の抗議行動を批判している。

毎日新聞 2007年1月3日 23時01分

フセイン側近2人、4日に死刑執行予定 - イラク

 写真はイラク高等法廷で、死刑宣告を受けた直後のイブラヒム元国家情報局長官(右)とバンダル元革命裁判所長(2006年11月5日撮影)。(c)AFP/DAVID

【バグダッド/イラク 3日 AFP】30日に処刑されたサダム・フセイン元大統領の共同被告で、ともに「人道に対する罪」で死刑宣告を受けた死刑囚2人の処刑が4日に行われる見通しとなった。

 イラク首相官邸筋がAFPに3日、明らかにした。絞首刑による処刑が予定される2人は、フセイン元大統領の異父弟であるバルザン・イブラヒム・ティクリティ(Barzan Ibrahim al-Tikriti)元国家情報局長官と、アワド・ハミド・バンダル(Awad Hamed al-Bandar)元革命裁判所長。

 1982年にフセイン氏暗殺未遂があったバグダッド北郊ドゥジャイル(Dujail)村の住民148人の虐殺を命じた「人道に対する罪」で元大統領とともに有罪となり、控訴も棄却されて死刑が確定していた。

AFP 2007年 01月 03日 20:10:44

国連総長、フセイン元大統領の死刑めぐる発言で波紋

 【ニューヨーク=白川義和】国連の潘基文事務総長は2日、昨年末に執行されたイラクのサダム・フセイン元大統領の死刑について、「各国が決めるべき問題」と述べた。

 死刑制度に反対する国連の原則的立場の変更と受け取られかねない発言で、登庁初日から波紋を広げた。

 元大統領の死刑については、イラク担当のアシュラフ・カジ国連事務総長特別代表が、「イラク人の正義を望む心情は理解するが、国連は戦争犯罪や人道に反する罪、集団殺害であっても、死刑には反対する」との声明を出したばかり。

 事務総長は死刑の是非について、「各国は国際人道法に留意すべきだ」とも付け加えたが、事務総長報道官は潘氏の発言に、「国連の見解が変わったわけではない」との釈明に追われる事態ともなった。

(2007年1月3日19時43分 読売新聞)

贅を尽くしたフセイン宮殿が、世界最大の米国大使館と化した - イラク

 写真は故フセイン元大統領の宮殿のひとつで、「王座」に座る米軍兵士(2006年11月11日撮影)。(c)AFP/DAVID FURST

【バグダッド/イラク 3日 AFP】イラクの独裁者、サダム・フセイン元大統領は処刑されたが、イラク全土に残る大統領宮殿には現在も、贅を尽くした独裁時代の面影が残っている。

■ 名前は「人々のための宮殿」、しかしその扉は堅く閉ざされていた

 故フセイン元大統領は24年間の独裁政権時代、絶対的な権力を具現化した8つの華美な宮殿を国内各地に建設した。これらの宮殿はフセイン政権の遺産であり、抑圧政治のシンボルとして反フセイン派の人々に忌み嫌われてきた。

 8つの宮殿を合わせた総面積は31.5平方キロになり、その三分の一は元大統領が作らせた複数の人造湖が占める。1998年にイラクを視察した国連代表団によると、宮殿施設として豪華な邸宅や貴賓接待用の別荘、執務室、倉庫、車庫など全体で建造物約1000棟が存在する。

 「人民宮殿」と呼ばれる本殿は、1930年代に建てられたが、1995年にフセイン氏が別棟を増築。銘文には元大統領を称賛し、「大統領閣下、最高指導者サダム・フセイン、神に守られた者」と刻まれている。

 フセイン政権はこうした宮殿兼要塞を「人々のための宮殿」と称することを好んだが、実際には元大統領が率いたバース(Baath)党党員以外は堅く守られた城壁の中に入ることさえなかった。

 バグダッドの「共和国宮殿」の碑にアラビア語で刻まれた銘文には、「古代メソポタミアの末裔たちよ、祖国の外から聞こえるものを信ずるなかれ」とある。碑文は読む者を威圧するようにこう続く。「ただ汝の指導者、大統領、汝の戦いを導く者、サダム・フセインだけに向けばよい。彼の語りかけることのみを信じよ。そのほかに聞こえるものはすべて噂や嘘と信ぜよ」。

 「共和国宮殿」と呼ばれた「壕」の中は現在、チグリス川の汚水が浸水し、悪臭が漂い、腐食した絨毯が残っている。

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2007年01月02日

フセイン元大統領の処刑ビデオ、隠し撮りしたのは誰か? - イラク

 写真は2日、フセイン元大統領の故郷アウジャ(Awja)に近いAl-Dawrで、フセイン氏の肖像画を前に立つスンニ派の武装グループ。(c)AFP/STR

【バグダッド/イラク 2日 AFP】サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領の処刑をビデオで隠し撮りし、インターネットに掲載した人物について、イラクで調査が開始された。ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相に近い筋が2日、明らかにした。

■流出した映像により、スンニ派、シーア派間の緊張が激化

 30日の死刑執行以来、処刑の一部始終を撮影したビデオ映像は、インターネットと携帯電話を通じて山火事のような勢いで世界中に広まった。

 この隠し撮り映像は、国営放送が公表した短時間映像よりも強烈で、宗派色をあからさまにして愚弄する立会人たちの態度が明らかになり、国内のスンニ派、シーア派間の緊張状態に油を注ぎ激化させている。匿名の首相筋高官は2日、「処刑中に叫んだ者は誰か、さらにこの映像を撮影した者は誰かについて、調査が開始された」とAFPに明かした。

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キューバ、フセイン元大統領の処刑を「違法」と非難

 1月1日、キューバ外務省はイラクのフセイン元大統領の処刑を「違法」と非難。写真は先月31日、バグダッド郊外で同元大統領の肖像を掲げる男性(2007年 ロイター/Nuhad Hussin)

 [ハバナ 1日 ロイター] キューバ外務省は1日、イラクのフセイン元大統領の処刑が「占領者による暗殺」だとして米国を非難するとともに、イラク戦争の終結を求めた。共産党の機関紙グランマに掲載された声明で述べた。

 声明では、前月30日に執行された同元大統領の死刑について「内戦を引き起こされ、何百万人もの市民が犠牲を強いられた国で起きた、政治上の愚かな行為であり違法行為」だと非難。「占領者(米国)による暗殺」だとの見方を示した。

 その上で「何千人もの米国の若者たちが戦争で死ぬことも止めるべきときだ」としている。

1月2日14時55分配信 ロイター

物静かな読書家でジョークが好き」、 看護師が語る獄中でのフセイン元大統領 - 米国

 写真は1日、アウジャ(Awjah)村の墓場で、埋葬されたフセイン元大統領の死を悼むイラク人ら。(c)AFP/DIA HAMID

【ワシントンD.C./米国 2日 AFP】サダム・フセイン(Saddam Hussein)元イラク大統領は、熱心な読書家で、ジョークを飛ばしたり小鳥に餌をやったりするのが好きだった――2006年12月30日に死刑が執行されたイラクの元独裁者の獄中での意外な「素顔」が明らかになった。CNNなどの米メディアが1日、米国での拘束期間中にフセイン元大統領の担当看護師を務めたRobert Ellis氏(56)の談話として報じた。

 当時、米陸軍曹長だったEllis氏がフセイン元大統領の健康状態を管理していたのは2004年1月から8月まで。米国がフセイン元大統領を拘束している間、健康状態を良好に保つようにとの厳命を受け、1日2回、元大統領の監房を訪れ、血圧や体温などをチェックし、適切な食事が与えられているか確認していたという。

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元大統領の死刑執行に抗議・イラク

 亡命先のヨルダンで、フセイン元イラク大統領の死刑執行に抗議する集会に参加した長女ラグダさん。帰り間際に拡声器を握り、「皆さんの支援に感謝したい。神のご加護があらんことを」と呼び掛けた(1日、ヨルダン)(EPA=時事)

 【カイロ2日共同】イラクのフセイン元大統領の死刑執行に対し、首都バグダッドなど各地で1日、元大統領と同じイスラム教スンニ派住民が抗議行動を行った。AP通信が伝えた。

 元大統領の生まれ故郷に近い北部ティクリートでは支持者がヒツジを殺して元大統領にささげ、中部サマラでは支持者が、ひつぎに見立てた箱や元大統領の写真を掲げてデモ行進した。

 元大統領の長女ラガドさんは隣国ヨルダンの首都アンマンで、医師や弁護士による抗議行動に参加。「皆さんが殉教者であるサダム(フセイン元大統領)をたたえてくださることを感謝します」と述べた。

 一方、ロイター通信によると、元大統領の親族は同日までに、北部アウジャ村にある元大統領の墓の近くに図書館と宗教学校を建設する計画を明らかにし、埋葬地が支持者の「聖地」となる兆しが早くも表れ始めた。

NIKKEI NET 2007/01/02 (10:23)

イラク:元大統領の死刑執行にスンニ派住民が抗議

 イラクのフセイン元大統領の死刑執行に対し、首都バグダッドなど各地で1日、元大統領と同じイスラム教スンニ派住民が抗議行動を行った。AP通信が伝えた。

 元大統領の生まれ故郷に近い北部ティクリートでは支持者がヒツジを殺して元大統領にささげ、中部サマラでは支持者が、ひつぎに見立てた箱や元大統領の写真を掲げてデモ行進した。

 元大統領の長女ラガドさんは隣国ヨルダンの首都アンマンで、医師や弁護士による抗議行動に参加。「皆さんが殉教者であるサダム(フセイン元大統領)をたたえてくださることを感謝します」と述べた。

 一方、ロイター通信によると、元大統領の親族は同日までに、北部アウジャ村にある元大統領の墓の近くに図書館と宗教学校を建設する計画を明らかにし、埋葬地が支持者の「聖地」となる兆しが早くも表れ始めた。

 墓を訪れた人々はひざまずいて祈りをささげた。北部モスルから来た男性は「われわれは報復する」と話し、政府を主導するイスラム教シーア派への敵意をむき出しにした。(共同)

毎日新聞 2007年1月2日 10時20分

2006年12月31日

「この雑魚が」フセイン元大統領、執行人に捨てぜりふ

 死刑を執行されるフセイン元イラク大統領。死刑確定後4日で処刑された。マリキ政権が断行した形だが、イラクの治安情勢が一段と不安定になる恐れもある(30日、イラク・バグダッド=同国国営テレビの映像より)(AFP=時事)

 【カイロ=柳沢亨之】中東の衛星テレビ、アル・ジャジーラは31日、イラクのフセイン元大統領の死刑執行の様子を収めたビデオ映像を放映した。

 絞首台に立たされた元大統領は執行人らの罵(ののし)りに捨てぜりふを吐くなど、最後まで余裕を見せた。

 映像では、太いロープを首に巻かれた元大統領が「おお神よ」とつぶやくと、複数の人物が大声で「ムクタダ、ムクタダ」と叫ぶ。イスラム教シーア派強硬指導者ムクタダ・サドル師を指すとみられる。これに対し元大統領は大きな笑みを浮かべながら、「この雑魚が」と応じた。

 元大統領はこの直後、「アッラーのほかに神はなし。ムハンマドはアッラーの使徒である」とのイスラム教の信仰告白を繰り返し、2回目の「ムハンマド」を言った時に絞首台が落ちた。映像は、執行関係者が携帯電話カメラなどで私的に撮影したものとみられる。

(2006年12月31日20時36分 読売新聞)

フセイン元大統領遺体、生地に埋葬…息子墓所の近く

 イラク中部オウジャ村のフセイン元大統領埋葬地に集まった人々=AP

 【カイロ=柳沢亨之】イラクからの報道によると、バグダッドで30日に死刑が執行されたサダム・フセイン元同国大統領の遺体が31日未明、生まれ故郷の中部ティクリート近郊オウジャ村に搬送され、埋葬された。

 イラク政府は元大統領に「帰郷」を認め、遺族に対し一定の配慮をした形だ。

 遺体は、元大統領の出身部族長らがバグダッドで引き取り、米軍機で搬送された。埋葬地は同村内の葬儀場内で、2003年夏に殺害された元大統領の長男ウダイ、二男クサイ両氏の墓から約3キロの地点。

 イラク当局は混乱を防ぐため、ティクリートなど近郊都市の道路を封鎖し、埋葬には数人が立ち会っただけという。イスラム教の慣習では遅くとも死亡翌日までに遺体を埋葬することになっている。

 イラク政府は当初、元大統領の墓地が反政府武装勢力の「巡礼地」となることを恐れ、秘密裏の埋葬も検討していた。墓地は今後、息子2人の墓とともに治安部隊の厳重な警戒下に置かれるものとみられる。

 ただ、遺族は「安全上の理由」から、反政府武装勢力の拠点、西部アンバル県ラマディへの遺体移送を求めているとも伝えられている。また長女ラガドさんは30日、自らが現在滞在するイエメンでの埋葬を望むことを明らかにしていた。

(2006年12月31日19時40分 読売新聞)

フセイン元大統領の遺体を埋葬 故郷ティクリット近郊

 イラク北部ティクリット郊外のアウジャ村のフセイン元大統領の墓所で悲しむイラク人。遺体はアルブナシル族の長らに引き渡され、アウジャ村にある宗教的行事に使われる集会所に埋葬された(31日)(AFP=時事)

 死刑が執行されたサダム・フセイン元イラク大統領(69)の遺体が31日、元大統領の故郷、イラク中部ティクリート近郊の村アウジャで埋葬された。ここには03年に米軍によって殺害された長男ウダイ、次男クサイ両氏が眠る一族の墓地があり、元大統領もそこに埋葬されたという。

 アラブ圏では、元大統領の処刑に批判の声があがっている。エジプト外務省の報道官は30日、「犠牲祭(イスラム教の祝日)の日だったことは遺憾」と中東通信に語った。リビアは同日、3日間の服喪を発表。サウジアラビア国営通信は「驚きと落胆」と伝えた。

 世俗主義の旧フセイン政権とは対立していたアルカイダなどスンニ派過激派が、「犠牲祭の処刑」を米国やイラク政府、シーア派に対する攻撃の新たな口実とする可能性がある。

 インターネット上では31日、立会人が撮ったとみられる処刑のビデオ映像が出回った。30日にイラク国営テレビが報じた映像では音声がカットされていたが、ビデオでは処刑の直前、立会人から「地獄におちろ」などの叫び声があがっていた。

2006年12月31日19時25分 asahi.com

元大統領処刑に反発相次ぐ=辞世の言葉に共感も−パレスチナ

 フセイン元イラク大統領の肖像写真を掲げて処刑に抗議するパレスチナ・ヨルダン川西岸地区ヘブロン郊外のパレスチナ人たち(30日)(EPA=時事)

 【エルサレム31日時事】フセイン元イラク大統領の死刑が30日執行されたことについて、パレスチナで反発の声が相次いでいる。元大統領は絞首刑に処される直前、「パレスチナ万歳」と叫んだと伝えられており、これが人々の心をとらえたという側面もあるようだ。

 イスラム原理主義組織ハマスが率いるパレスチナ自治政府のユーセフ首相政治顧問は「パレスチナ、エルサレム(のイスラエルによる占領、併合)は、すべてのアラブ人にとって中心的問題なのだ」と述べ、共感が広がるのは当然との見方を示した。

12月31日19時0分配信 時事通信

フセイン元大統領の遺体、イラク北部の出身地に埋葬

 12月31日、フセイン元大統領の遺体、イラク北部ティクリートに近い出身地アウジャ村に埋葬される。写真は同元大統領の写真に口づけするティクリートの少年。30日撮影(2006年 ロイター/Nuhad Hussin)

 [バグダッド 31日 ロイター] イラクのフセイン元大統領の遺体は31日未明、同国北部ティクリートに近い出身地アウジャ村に埋葬された。出身部族の部族長や家族が明らかにした。

 同元大統領は30日、大統領在任中のシーア派住民虐殺をめぐる人道に対する罪で絞首刑となり、元大統領の家族は先に声明を通じ、遺体がスンニ派武装勢力の拠点でもあるラマディに埋葬されると述べていた。

 部族長はロイターに対し、埋葬は死刑執行から24時間以内に行われたと明らかにした。また、元大統領の家族に近い関係筋によると、遺体は2003年に米軍によって殺害された元大統領の長男ウダイ氏、次男クサイ氏も眠る一族の墓地に埋葬されたという。

12月31日17時37分配信 ロイター

フセイン元大統領の遺体、イラク北部の故郷に埋葬

 【カイロ31日共同】ロイター通信によると、死刑が執行されたイラクのフセイン元大統領の遺体が31日、北部ティクリートに近い生まれ故郷のアウジャ村に埋葬された。元大統領の出身部族の部族長が記者団に明らかにした。

 アウジャ村には、2003年7月に北部モスルで駐留米軍に殺害された長男ウダイ、二男クサイ両氏が眠る一族の墓地があり、AP通信によると、元大統領は両氏の傍らに埋葬された。

 アウジャ村のあるサラハディン州の副知事によると、正副知事と、部族長が30日、首都バグダッドの米軍管理区域を訪れ、遺体を引き取った。

 元大統領は、在任中にイスラム教シーア派住民を殺害した「人道に対する罪」でバグダッドの旧軍情報施設で同日、絞首刑となった。

 イラク政府系テレビは、執行直前の元大統領の様子を伝えた。その後、絞首刑の瞬間の音声付き映像がインターネット上に流出し、中東の衛星テレビ、アルジャジーラなどがこれを放映した。

NIKKEI NET 2006/12/31 (16:04)

フセイン元大統領の遺体、出身地ティクリートに

 12月30日、死刑執行されたイラクのフセイン元大統領の遺体が出身地ティクリートに搬送された。写真は死刑執行後、同元大統領の写真を掲げ抗議するティクリートの人々(2006年 ロイター/Nuhad Hussin)

 [バグダッド 30日 ロイター] イラクのフセイン元大統領の遺体が30日、出身地ティクリートに搬送された。元大統領の死刑はこの日に執行された。

 元大統領の家族は声明を通じ、遺体はスンニ派武装勢力の拠点でもあるラマディに埋葬されると明らかにした。

 ロイターが入手した同声明によると、元大統領は最後に面会した弁護士に対し、アウジャかラマディでの埋葬を希望。これに基づき家族がラマディでの埋葬を決めたとしている。埋葬の日程については明らかにしていない。

 また、出生地に近いアウジャでなく、バグダッドから西に110キロ離れたラマディを選んだことについては「家族の事情や現在の治安情勢」によるものだとしている。

 2003年に米軍によって殺害された元大統領の長男ウダイ氏と次男クサイ氏はともに、アウジャに埋葬されている。

12月31日13時39分配信 ロイター

独裁者の末路 自殺、銃殺、病没... 判決執行は異例

mda061231002-1.jpg ヒトラー(右上)アミン(左上、AP)チャウシェスク(下、AP)

 独裁者が哀れな末路をたどるのは珍しいことではない。過去、幾多の独裁者がクーデターを起こされて殺害され、亡命先で失意のうちに病没する圧政への応報ともいうべき最期を遂げてきた。サダム・フセイン元大統領の場合、裁判という体裁を取り、その判決の執行という形で死を迎えた点で異例である。独裁者史というものが成り立つとすれば、それを画する出来事だったといえよう。(佐藤貴生)

 独裁体制を維持できたまま、人生の幕を閉じた指導者もむろんいる。ソ連のヨシフ・スターリン書記長(1879〜1953)や北朝鮮の金日成主席(1912−94)、イラクに隣接するシリアのハフェズ・アサド大統領(1930−2000)らがそうだ。だが、世に悪名を轟かせた独裁者に限っていえば、それは例外的かもしれない。

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フセイン元大統領の遺体、故郷アウジャ村に

 【カイロ31日共同】30日に死刑が執行されたイラクのフセイン元大統領の遺体が同日、北部ティクリートに近い生まれ故郷のアウジャ村に運ばれた。31日にも埋葬されるとみられるが、埋葬地をめぐって情報が錯綜している。ロイター通信が伝えた。

 ティクリートのイスラム教スンニ派聖職者は、遺体がすでに同村に到着したことを明らかにした上で、2003年7月に駐留米軍に殺害された長男ウダイ、二男クサイ両氏が眠る一族の墓地に埋葬されると述べた。

 一方、元大統領の家族は30日、「家族の事情」などのため、中部ラマディでの埋葬を決めたとの声明を出した。声明によると、元大統領は最後に面会した弁護士に、アウジャ村かラマディでの埋葬を希望したという。

 アウジャ村のあるサラハディン州の副知事によると、正副知事と、元大統領の出身部族の部族長が30日、首都バグダッドの米軍管理区域を訪れ、遺体を引き取った。

 元大統領の弁護士は、遺体が米軍機で移送されたと述べたが、イラク政府高官は陸路だったとしている。

産経新聞 (2006/12/31 09:04)

フセイン元大統領死刑 独裁の全貌、闇に 中東民主化さらなる課題

 【カイロ=村上大介】イラクで四半世紀にわたり強権体制を敷いたサダム・フセイン元大統領が30日、死刑確定から4日後に処刑された。独裁者の罪を暴き、戦後イラクの国民融和を図ろうとする裁判だったが、裁判自体の公正さを疑問視する声がなお消えない中、刑の執行を急いだことで、旧フセイン政権による数々の犯罪の真相も闇に葬られる可能性は高い。“独裁の病理”を克服し未来を目指すイラクにとって、今回の死刑執行は新たな一歩になると同時に多くの課題を残した。

 2003年春のイラク戦争でフセイン政権から解放されたイラクにとって裁判は、その残虐性で恐れられた旧政権の犯罪の全体像を明らかにし、「民主国家」の建設に向かうための重要なステップだったことは間違いない。しかし、処刑の根拠となったのは、1982年のイスラム教シーア派による元大統領暗殺未遂事件に対する報復として起きたドゥジャイル村の148人の殺害事件だけに終わった。

 イラク高等法廷は、公判中である80年代のクルド人虐殺事件(アンファル作戦)で他の被告に対する審理は継続するとしているものの、北部クルド住民に化学兵器を使用したとされる88年のハラブジャ事件、90年のクウェート侵攻、91年の湾岸戦争後に蜂起した南部のシーア派住民弾圧といった大きな事件は解明されなかった。イラン・イラク戦争(80〜88年)ではイラン封じ込めのために旧フセイン政権を後押しした米欧との関係などが裁判で明らかにされることもなくなった。

 だが、今回の裁判で最も大きな影響を残すとみられるのが、公判から処刑に至る過程で、現政権の主導権を握るシーア派勢力が、フセイン独裁政権の「負の遺産」の清算より「報復」を急いだようにとれる動きを示したことだ。

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元大統領の遺体、故郷ティクリットに=埋葬のため輸送−イラク

 【カイロ30日時事】死刑を執行されたフセイン元イラク大統領の弁護士の1人はロイター通信に対し、元大統領の遺体が30日、出身部族指導者に引き渡された後、埋葬のため故郷である北部のティクリットに米軍機で運ばれたと語った。

12月31日7時0分配信 時事通信

イラク高官「正義実行」 恐怖支配24年に幕

■ シーア派、祝福の祈り

 【カイロ支局】まさに“世紀の処刑”だった。米CNNテレビなどは30日、イラクのフセイン元大統領に対する死刑執行の映像を全世界に伝えた。元大統領は観念した様子だったが、残虐行為への後悔の念はまったく示さなかった。

 処刑から約6時間後に映像を流したCNNテレビによると、元大統領は真っ黒な上着、ズボン、靴をはかせられ手錠をかけられたまま、覆面姿の立会人によって絞首台まで連行された。目隠し用のフードは拒否したが、首にロープが巻かれたときわずかにおびえているようにも見えた。このあとしばらくして白い布にくるまれた元大統領の遺体の映像も流された。

 処刑に立ち会ったマリキ首相の側近がロイター通信などに語ったところによると、元大統領は「何か言い残したいことは」と尋ねられ、「言いたいことはない」と答えた。イスラム過激派を賞賛し「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)。イラクに勝利あれ。パレスチナはアラブだ」と叫んだ。24年間近くイラクを恐怖で支配した独裁者の最期だった。

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フセインの死刑執行、住民虐殺「人道に対する罪」

 イラク中部のイスラム教シーア派の聖地ナジャフで、フセイン死刑執行の報に沸く住民=AP

 【カイロ=長谷川由紀】イラク中部ドゥジャイルのイスラム教シーア派住民148人を殺害したとして、人道に対する罪で死刑が確定していた同国元大統領サダム・フセイン(69)に対する絞首刑が30日午前6時(日本時間同日正午)ごろ執行された。

 人道に対する罪で元国家元首が処刑されたのは初めて。34年にわたり同国を強権支配し、2003年のイラク戦争で政権の座を追われた独裁者フセインは、自国民の手で裁かれ、「犯罪者」として刑死した。

 処刑は、バグダッドのシーア派地区カジミヤにある旧軍情報機関本部の建物内で行われた。地元メディアによると、処刑にはイラク高等法廷の判事や政府当局者ら7人が立ち会った。立ち会った政府当局者によると、フセインは首にロープをかけられる直前に、「神は偉大なり。国家(イラク)は勝利する。パレスチナはアラブのものだ」と叫んだ。

 判決確定から4日後という迅速な処刑で、フセインを支持する旧バース党関係者やスンニ派武装勢力が、現政権で主流のシーア派やクルド人への反発を強め、治安がさらに悪化するとの指摘もある。マリキ首相は処刑後、声明を出し、「独裁復活をはかるばかげた試みはこれで終わった。闇の歴史に区切りをつけ、ともに国家を再建しよう」とフセイン支持勢力に呼びかけ、宗派や民族対立の解消に向けた国民融和の実現を目指し、政治プロセスに参加するよう訴えた。

(2006年12月31日1時48分 読売新聞)

フセイン元大統領の死刑執行 政権崩壊から3年半

TKY200612290189.jpg バグダッドのイラク高等法廷で06年11月5日、死刑判決を受けたサダム・フセイン元大統領=AP

 イラクのサダム・フセイン元大統領(69)の死刑が30日、バグダッドで執行された。米英が主導したイラク戦争で旧政権が崩壊してから3年半。約四半世紀にわたり独裁体制を敷いた旧指導者は、26日の死刑確定から4日後に絞首刑となった。イラク政府は旧体制との決別を強調し、復興へ向けた国民の統合を呼びかけたが、激しい宗派対立に荒れる治安状況が改善する見通しはない。30日もバグダッドなどで自動車爆弾が爆発し、ロイター通信によると少なくとも計68人が死亡した。

 刑執行はイラク時間30日午前6時(日本時間同正午)ごろ、バグダッド北部にある司法省関連施設内で、政府幹部らが立ち会って行われた。イラク国営テレビ局は執行前後の数分間の録画を無音で放映。元大統領が黒い上下服姿で、抵抗することなくロープに首を通される様子や、執行後に横たえられた遺体の顔などが映された。

 幹部らが報道機関に語った話によると、元大統領はイスラム教の聖典コーランを持って刑に臨んだ。目隠しは拒み、執行直前に「神は偉大なり。国家は勝利に満ち、パレスチナはアラブのものだ」と叫んだという。

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フセイン死刑執行:論文 振り回された国際社会

 今日の中東を中心とした国際秩序を眺めた時、フセイン元大統領がイラクの大統領に就任した79年以降、イラクは秩序形成の舞台回し役の多くを担ってきた。

 元大統領が権力隆々だった80年代はもちろん、湾岸戦争によって“張り子の虎”となった90年代以降も、挑発行為で米国の神経をいら立たせ、国際関係を緊張させてきた。イラク戦争もフセイン元大統領抜きにはあり得ず、その意味では元大統領亡き後も、イラク国民、国際社会は振り回され続けることになる。

 豊富な原油資源をもつイラクは、賢明な指導者に恵まれていたら、中東屈指の豊かな国になっていたはずである。その機会は何度もあった。70年代末、米国の有力な研究所は「フセイン(元大統領)の下で、イラクは将来、中東随一の豊かな国になるだろう」との報告を出している。しかし元大統領はその機会をつかみ損ねた。

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フセイン死刑執行:ガザ地区などに弔問所

 【エルサレム前田英司】パレスチナ自治区のガザ地区南部ラファやヨルダン川西岸のジェニン、ベツレヘムの町では30日、死刑を執行されたフセイン元イラク大統領の弔問所が設けられ、イラク国旗や元大統領の写真が飾られた。元大統領は91年の湾岸戦争時にイスラエルのテルアビブをミサイル攻撃したこともあり、イスラエルの占領政策に抵抗するパレスチナ人の中には共感を抱く人が多い。元大統領は最期に「パレスチナ万歳」と言い残したと伝えられ、人々は「殉職者」として元大統領の死を悼んだ。

毎日新聞 2006年12月31日 0時35分

フセイン死刑執行:「政治的暗殺」弁護団が非難

 【カイロ支局】フセイン元イラク大統領の弁護団は30日、声明を発表して死刑を「政治的暗殺だ」と非難した。AP通信が伝えた。弁護団は「元大統領は殉教者になった」「殉教者は恐れを知らず、誠実で、清らかだ」と、裁判の不当性を強調。「政治的暗殺のすべての側面」が明らかになるまで、イラクの国内外であらゆる手段を用いて法的な闘争を続けるという。

毎日新聞 2006年12月31日 0時13分

フセイン死刑執行:24年間もの独裁支配の「罪」重く

 【カイロ高橋宗男】クーデター、亡命、戦争と激動の中東を生き、アラブの盟主を夢見たフセイン元イラク大統領が30日、69年の人生に終止符を打った。教育・医療を地域最高水準に引き上げた「功績」に一定の評価はあるものの、24年間もの長きにわたってイラクを独裁支配して国民を抑圧し、軍事大国として周辺国を畏怖(いふ)させ続けた「罪」は重い。

 元大統領は37年、イラク北部ティクリート近郊の貧農に生まれた。幼少時から独立心が旺盛で、4歳の時に英軍に対するイラク人の反乱事件が発生した際、反乱軍におじが参加。これを機に外国の影響を徹底的に嫌うようになった。

 アラブ主義に目覚めたのは56年の第2次中東戦争。英仏と戦うナセル・エジプト大統領に感銘し「第2のナセル」を目指すようになる。その後、アラブ統一国家建設を掲げるバース党に入党。59年にはカセム首相の暗殺を謀るが失敗し、エジプトに亡命している。63年のクーデターでカセム首相が殺害された後、68年のクーデターで指導的役割を果たし、69年には革命指導評議会副議長となった。

 権力を掌握したのは79年。バクル大統領の引退を受け大統領に就任すると、国内に約20万人の秘密警察の監視網を張り巡らし徹底した恐怖政治を敷いた。権力周辺をティクリート出身の家族・親類で占める一方、亡命した大統領の娘婿フセイン・カメル中将を96年に殺害、身内でも自分に背く者は容赦なく粛清した。

 軍事大国の指導者として世界を震かんさせたのは80年、イランに侵攻した時だ。88年の停戦までに両国で数十万人の死者を出した。イランやイラク国内のクルド人に化学兵器を使用したことは、元大統領の残忍さを示すものとして注目され、国際的な批判を浴びた。90年8月にはクウェートに侵攻し、91年1月に多国籍軍との湾岸戦争に突入。湾岸危機当時、日本人を含む外国人を人質に取り、ペルシャ湾に原油を流すなど物議を醸す行動も目立った。

 一方で社会保障、教育に力を入れ、医療や教育無料化を実現。90年に国連制裁下に置かれるまでバグダッドはアラブで最も医療水準が高かった。歴史上の英雄を好み、米国に追従しない態度はアラブの民衆に一定の評価を得たが、イラク戦争(03年)で2人の息子を失い、米軍に拘束された時点で「アラブの覇者」の夢はついえた。

毎日新聞 2006年12月30日 21時19分 (最終更新時間 12月31日 0時10分)

2006年12月30日

フセイン死刑執行:長女、イエメンでの遺体埋葬を要求

 【カイロ支局】ロイター通信によると、フセイン元大統領の長女ラグダさんは父親の遺体をイエメンで埋葬するよう求めている。ラグダさんと妹ラナさんはヨルダンに亡命中で、元大統領の弁護士も遺体をイラク国外に移す考えを英スカイテレビに語った。しかしイラク政府は遺体の引き渡しを拒絶している。

 ラグダさんらの広報担当者が30日、ロイター通信に語ったところによると、2人は「父親が(死刑に際し)係官に勇気をもって毅然(きぜん)と対応したことを非常に誇りに思っている」という。姉妹は死刑執行に臨んだ元大統領の様子をテレビで知った。

 フセイン元大統領の長男ウダイ氏(国会議員)と二男クサイ氏(バース党幹部)は03年7月、イラク北部モスルで米軍部隊に急襲され、死亡した。

毎日新聞 2006年12月30日 22時53分 (最終更新時間 12月30日 23時45分)

亡命先の娘2人、死刑執行に「極度の緊張と無念」

 【カイロ=岡本道郎】イラク元大統領フセインの長女ラガドさん(イラク政府がテロ関与で指名手配中)と二女ラナさんは30日未明、亡命先のヨルダン首都アンマンで、テレビで実父の死刑執行を知った。

 フセイン弁護団筋が本紙に語ったところによると、娘たちは子供たちと夜通し、チャンネルをひっきりなしに替え、運命の時を待った。執行のニュースが流れると、ラガドさんは「極度の緊張と無念さに襲われた様子となり、(周囲の人が)鎮静剤で休ませた」(同筋)という。

(2006年12月30日23時13分 読売新聞)

イランなど歓迎、欧州には戸惑い フセイン元大統領処刑

 イラクのフセイン元大統領処刑の知らせに、旧フセイン政権と敵対した国は歓迎する一方、死刑を廃止している欧州などでは疑問や戸惑いの声が上がった。

 イランのアセフィ外務次官は、国営イラン通信(IRNA)に「処刑は、イラクの人々の勝利だ」と語った。イスラエルのペレス副首相は公共ラジオ放送で「サダム・フセインは自ら死を招いた」と述べた。

 イラク戦争を戦った英国の反応は複雑。ロイター通信によると、ベケット外相は「元大統領の恐ろしい罪の一部を、イラクの法廷が裁いた事実を歓迎する」としつつ、改めて「世界中の死刑廃止を主張する」と述べた。

 フランス外務省は声明でイラク国民に「未来を見すえ、国の再建と統一に努めてほしい」と呼びかけ、「他の欧州諸国とともに死刑廃止を主張するフランスは、30日の処刑を記憶にとどめる。この決断はイラク国民と主権を持つイラク当局によるものだ」とした。

 死刑に原則反対のロシアは、外務省のカムイニン情報新聞局長が「国際社会の呼びかけにイラク政府が応えなかったことは遺憾だ」と語った。パレスチナ自治政府で内閣を握るイスラム過激派ハマスの報道官は「フセイン氏は戦争捕虜。処刑は国際法に違反する」とした。

 中国外務省の秦剛・副報道局長は「イラクの問題はイラク国民の決定によるべきだ」との声明を発表した。

2006年12月30日23時10分 asahi.com

フセイン死刑執行:評伝 中東「野望の時代」に弔鐘

 フセイン元大統領の死刑執行は、中東の「野望の時代」の終わりを告げる弔鐘のように思える。

 バグダッド中心部に立つフセイン像の前をタクシーで通り過ぎる。すると運転手が言ったものだ。「ほら見ろ。あの男は一日中手を上げているが、タクシーは止まってくれないんだ」。91年の湾岸戦争後に聞いた「サダム・ジョーク」の一つだ。

 当時、国連制裁下のイラクでは1缶450グラムのベビーミルクが6000円もしていた。8年間のイラン・イラク戦争が終わったかと思えば湾岸戦争。いかに独裁国家でも、米軍の猛爆で家族や知己を失い、生活を破壊された人々は愚痴の一つも言うだろう。

 戦争から戦争へと導く指導者は愛されない。それはフセイン元大統領もブッシュ米大統領も逃れられない歴史の鉄則である。フセイン元大統領は厳しい監視社会を築いて反対派を粛清する一方、ある種の野望を国民と共有することで人気をつなぎとめようとした。

 その野望、または国民に与えた幻想とは、イラクを地域大国から世界の大国へと引き上げることだったと思う。アラブ民族主義を鼓吹しスエズ運河国有化を宣言したナセル元エジプト大統領にも同じような野望を指摘できる。イランの故ホメイニ師(最高指導者)も、イスラム教徒の覚せいを促して米欧主導の国際体制に挑戦した。

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イラク高等法廷「正当性」に国際的議論…国連も疑問視

 【ジュネーブ=渡辺覚】イラクの元大統領フセインに対し、「人道に対する罪」で死刑判決を下したイラク高等法廷については、判決だけでなく、法廷自体の法的な正当性に関しても国際的な議論があった。

 法廷は、イラクが米軍などの占領下にあった2003年12月に設置が決まった国内法廷だ。大統領だった人物の政権時代の犯罪を裁く「特別法廷」として、イラク刑法になかった「人道に対する罪」などの規定を設け、国際法に準拠した形を取った。その一方では、法廷の資金や運営・警備に米国の深い関与が指摘され、判事や検事の人選でも政治的にフセインと対立する立場にあった人物を任命するなど、発足時にも問題点が指摘された。

 「人道に対する罪」の対象となる戦争犯罪の裁判では、被告が国家指導者や為政者であるケースが圧倒的だ。このため近年では、国内事情に左右されない公正さを確保するため、旧ユーゴ国際戦犯法廷などのように、国際法廷や国連の主導で設置された法廷で行われるのが通例になっていた。

 国連も05年10月、イラク高等法廷の正当性を疑問視し、国連による独立法廷を設置すべきだとする報告書を公表した。フセイン死刑確定に際して、国連人権高等弁務官事務所のルイーズ・アーバー高等弁務官は「不公正な審理による死刑の執行は、国際法に違反する」との声明を発表していた。

 その一方、国内法廷であることにより、法廷に「イラク国家主権」の重みを与え、「外国人ではなく、イラク国民自身による決定」の体裁をとることも可能になった。原則的に死刑反対の欧州各国も、その点を尊重した評価をしている。

 ただ、国際人権団体は、手続き上の不備を指摘している。「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は、旧政権下の刑事訴訟法をそのまま適用したことを批判し、「黙秘権を認めない」「疑いが残る立証でも有罪を可能にする」などを問題点として指摘した。アムネスティ・インターナショナルも「裁判はずさんで、国際基準に合致する、公正な裁判能力に欠陥があった」との声明を出している。

(2006年12月30日23時0分 読売新聞)

「勝者の裁き」濃厚 フセイン裁判、米が実質的に介入

 フセイン元大統領の死刑確定の際、米ブッシュ政権は「独裁者による支配を法による支配に置き換えようとするイラク国民の努力」と評価していた。処刑については「主権国家であるイラク政府が決定すること」とみなす建前から、表向き介入しない立場だった。

 しかし、処刑直前まで元大統領の身柄を拘束していたのが米軍だった点に象徴されるように、イラクで「法による支配」が確立されたとは言い難い。米国防総省も議会あてイラク情勢報告書の最新版(11月30日付)の中で、イラクでの法治について「構造的な欠陥から深刻な問題が生じている」と認めざるを得ない状態だ。

 このように国内の裁判所が正常に機能しない国や地域では近年、国際社会が代わって正義を実現する国際法廷が設置される場合が少なくない。元大統領が自らの統治下での非人道行為について責任を問われる立場にあるのは疑いない以上、刑事責任について国際法廷による裁きへの道が、理論的には存在した。

 米国はその道を拒み、予算と人員をつぎ込んでイラク高等法廷を設立した。その根拠として「人道に対する罪」の定義などを国際人道法から採り入れてイラク国内法を整備させたが、形式上のことに過ぎなかった。

 ブッシュ政権の手法に共通するのは、国際法を自国の目的に沿ってつまみ食いする姿勢だ。そもそも、主権国家だったイラクに対し、国際法上の合法性に大きな疑義を抱えたまま侵攻したのが米国だ。元独裁者の死刑執行の時だけ「主権」の壁を盾にイラク人の主体的な決定であるかのように装っても、「実質は勝者の裁き」との批判を免れない。

 公正さを満たさない裁きによる今回の死刑執行は、日本人の一部に東京裁判をめぐって今も異論が残るように、スンニ派イラク人の間に禍根を残す可能性がある。元大統領を「殉教者」と見なす論法をかえって勢いづかせかねない。

2006年12月30日22時59分 asahi.com

フセイン元大統領:死刑執行 「人道に対する罪」で

20061231k0000m030064000p_size6.jpg イラク国営テレビで放映されたフセイン元大統領の死刑執行の様子=AP

 【カイロ高橋宗男】イラクのイスラム教シーア派住民殺害事件で死刑判決が確定したフセイン元大統領(69)を、イラク政府は30日午前6時(日本時間同日正午)ごろ、バグダッドで絞首刑に処した。24年間にわたり同国を独裁支配してきた元大統領は、03年のイラク戦争を経て「人道に対する罪」で裁かれた。米国の影響下で行われた裁判の正当性には疑問がつきまとい、旧フセイン政権を支えたイスラム教スンニ派の反発は必至だ。シーア派が主導するイラクのマリキ政権や米国は死刑執行で治安情勢が安定することを期待しているが、泥沼化している宗派間対立にいっそう拍車がかかる恐れがある。

 中東の衛星テレビ「アルアラビーヤ」によると、米軍施設に収容されていた元大統領の身柄は午前5時半ごろ、バグダッド北部カドミヤ地区の旧軍情報部施設(現イラク軍施設)でイラク政府側へ引き渡され、同施設内で死刑執行された。元大統領はイスラム教の聖典コーランを手に、ずきんの着用を拒否して絞首台に向かったという。執行や遺体の様子は国営テレビなどで放映された。

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フセイン死刑執行:民主化に「重要な一里塚」米大統領

 イラク国旗を振り回してフセイン元イラク大統領の処刑を歓迎するイラク系米国人たち(30日、ミシガン州ディアボーン)(AFP=時事)

 【ワシントン吉田弘之、及川正也】フセイン元イラク大統領の死刑執行についてブッシュ米大統領は29日声明を発表し、「イラクの民主主義にとって重要な一里塚だ」とイラク民主化への動きを歓迎するとともに「サダム・フセインに法の裁きを受けさせたからといって、イラクでの暴力は終わるわけではない」と、死刑執行による宗派間抗争の激化を警戒した。

 一方、米国防総省は同日、イラク駐留米軍が高度の警戒態勢をとっていることを明らかにした。親フセイン派による報復攻撃が予想されるためで、同省スポークスマンはAP通信などに「米軍は抗争が激化しそうな動きには注意を払っている」と強調した。

 ブッシュ政権にとっては、イラクが独自の司法制度下でフセイン元大統領を裁くことに意味があった。死刑判決が確定した26日、スタンゼル大統領副報道官は「フセインは自らが否定してきた法的権利を享受できた」と裁判の正当性を強調した。

 「司法の独立」はブッシュ政権が推進する中東民主化構想の柱でもある。レバノン危機やパレスチナ和平、イラン核問題などで構想が頓挫の危機にある現在、元大統領の死刑執行は「中東民主化の進展」を主張できる数少ない機会となる。

 米ブルッキングズ研究所のマイケル・オハンロン上級研究員は「イラクの治安悪化の原因は複雑な要素がからんでおり、元大統領の生死の問題を超えている」と指摘し、ブッシュ大統領が進めるイラク新政策の策定作業に死刑執行が与える影響は極めて小さいとみる。

 だが、さらなる治安悪化と宗派間対立の激化はマリキ政権を一層窮地に追い込み、イラク新政策の実施に深刻な影響を与えかねない。新政策の柱としてブッシュ政権内部で検討されている戦闘部隊の増派論に拍車がかかる局面も出てきそうだ。

毎日新聞 2006年12月30日 19時53分 (最終更新時間 12月30日 22時22分)

死刑執行「最高の贈り物」「性急」…中東の反応複雑

 イラクの首都バグダッド南方のナジャフで、フセイン元大統領の死刑執行を祝う市民(30日)(EPA=時事)

 【カイロ=岡本道郎】イラク元大統領フセインの死刑執行が、巡礼明けの犠牲祭入りと重なった中東アラブ世界は、中東を幾多の混乱に陥れた独裁者の最期を複雑な表情で受け止めた。

 1990年、フセインのイラク軍の侵攻を受け、半年間にわたり占領されたクウェートは、公式には、サバハ社会問題労働相が「死刑執行はイラクの国内問題」と淡々とした声明を発表したが、アジミ元情報相はロイター通信に対し、「人道に対する犠牲祭最高の贈り物だ」と歓迎。一方、イラク戦争回避に尽力したアラブ首長国連邦(UAE)の政府高官はAFP通信に対し、「イラクの兄弟が苦しみのページを過去のものとして、暴力をやめ、国民融和に向かうことを望む」と語った。

 しかし、死刑執行への批判も多く、フセイン裁判を不当と批判してきたリビアは30日、3日間の服喪を宣言、犠牲祭の政府主催祝賀行事を中止して、強い遺憾の意を表明。米中東政策を一貫して批判してきたシリアの政治評論家イマード・シュエイビ氏は本紙に対し、「執行は性急。イラク政府は、主要戦闘終了後にイラクで敗北を味わったブッシュ米大統領の面目を保つために、年末の贈り物をしたのだろう」と述べた。

 また、神聖な犠牲祭に処刑を行ったことへのイスラム教徒としての反発も聞かれた。ロイター通信は、「犠牲祭の日に処刑するとは、全イスラム教徒への侮辱だ」と憤るメッカの巡礼者の声を報じた。

(2006年12月30日21時29分 読売新聞)

フセイン死刑執行:欧州の反応は複雑...原則は死刑反対だが

 【ロンドン小松浩】フセイン元大統領の死刑執行に対する欧州側の反応は複雑だ。欧州連合(EU)は死刑制度の廃止を加盟条件にしており、EUはいかなる死刑にも反対の立場を崩せない。その一方で、国家再建途上にあるイラクの主権を尊重すべきだとの声も強い。欧州は「死刑反対」の原則論を掲げて米国とは一線を画しつつ、イラク当局への厳しい批判はできるだけ避けることでバランスを取っている。

 06年後半のEU議長国フィンランドは元大統領に死刑判決が下された11月、声明で「EUはあらゆる裁判、いかなる条件下の死刑にも反対している。フセイン元大統領であっても死刑は執行すべきではない」と強調していた。これはEUの共通認識を代弁したものであり、欧州は死刑執行にも同様の立場を示す。

 ただ、今回の死刑確定後の欧州主要国の反応には、イラク戦争への対応の違いがからみ微妙な温度差も生じている。

 米国と最も親密な関係にある英国は、外務省報道官が「死刑反対の我々の立場は不変だが、これは完全にイラク人が決める問題だ」と、異議や疑念ははさまなかった。しかし親米ベルルスコーニ政権を破って政権の座についたイタリアのプロディ首相は「イタリア政府も私個人も、どんな場合でも死刑には強く反対する」と繰り返し表明。英国とは異なり、執行反対を明言した。

 英国に本拠を置くアムネスティ・インターナショナルなど国際人権団体は、政治的思惑で進められた欠陥裁判として元大統領への死刑に反対しており、執行されたことに大きな失望を示している。人権や人道主義を基盤の価値とする欧州では、多くの政府や政治指導者がそうした見解を共有する。

毎日新聞 2006年12月30日 19時57分 (最終更新時間 12月30日 20時49分)

フセイン元大統領の死刑執行・「人道に対する罪」

 29日、米ミシガン州ディアボーンで、フセイン元大統領の死刑執行を喜ぶ在米イラク人たち〔著作権:AP.2006〕

 【バーレーン=加賀谷和樹】イラク政府は30日、イスラム教シーア派住民を虐殺した「人道に対する罪」で死刑が確定していたフセイン元大統領(69)の絞首刑を執行した。国営テレビが伝えた。判決確定からわずか4日だった。ほぼ四半世紀にわたりイラクを恐怖政治で支配してきた独裁者は、自国の法廷で犯罪者として裁かれて生涯を終えた。

 イラクのマリキ首相は求心力を得るために、旧政権を支えたイスラム教スンニ派への元大統領の影響力を排除しようと死刑執行を急いだとみられる。ただ、スンニ派武装勢力の反発で治安がさらに悪化する恐れもある。裁判の公正さに対して、欧州各国や国際人権団体からの批判も広がりそうだ。

 元大統領の絞首刑はバグダッド市内にある政府施設で同日午前6時(日本時間正午)ごろ、執行された。地元メディアによると、執行にはイラク高等法廷の判事や政府当局者、イスラム教聖職者の計7人が立ち会った。国営テレビでは執行直前の元大統領の姿と、処刑後の遺体の顔が映された。

NIKKEI NET 20061230 (19:24)

死刑反対もイラク政府、国民の決定と 英仏豪各政府

ロンドン(CNN) イラクのフセイン元大統領の絞首刑執行で、イラク軍事作戦を米国と共に主導した英国のベケット外相は同日、「イラク国民に対して行ったおぞましい犯罪の一部が、イラク法廷で裁かれた事実を歓迎したい」「責任を取らされた」などとの談話を発表した。

同時に、英国政府はイラクであれどこであれ、死刑を支持しないとの姿勢をイラク側に伝えたとも述べたが、独立国家の決定は尊重するとも付け加えた。

英国と同様、イラク戦争で米国と足並みをそろえているオーストラリアのダウナー外相は、豪州は死刑に反対の立場だが、サダム・フセイン(元大統領)は公正な裁判を受け、人道犯罪で有罪と判決されたとの声明を発表。

「(死刑は)専制政治を歴史にする重要な節目であり、現在もしくは将来の国民和解のプロセスを進めるための大事な一歩でもある」と語った。

また、フランス外務省は、全イラク人に将来に目を向け、和解と団結を促したいとの声明を発表。同時に、他の欧州諸国と同様、フランスは死刑廃止を提唱しているとしながらも、今回の死刑執行はイラクの国民と当局の決定だと指摘し、直接的な批判は避けた。

CNN 2006.12.30 17:39

顔に恐怖の表情と証人、フセイン元大統領の死刑執行

バグダッド(CNN) フセイン元大統領の30日の死刑執行に立ち会ったイラク政府のルバイエ国家安全保障顧問は同日、絞首刑の際の元大統領の表情に触れ、「うちのめされ、おびえていた。恐怖の表情が顔にあった」などと国営テレビに語った。

ただ、執行の進行には従順だったという。イスラム教の教典コーランのコピーを持参し、ある人物に渡すよう求めたという。顧問は、この人物の身元には触れなかった。また、執行の前に、黒い覆面をすることを拒否した。

立ち会ったのは証人と執行者のみで、イスラム教シーア、スンニ両派の聖職者もいなかった。

CNN 2006.12.30 15:57

「元大統領、死刑執行に抵抗せず」イラク国家安全保障担当顧問

 【ロンドン=横田一成】イラクのフセイン元大統領の死刑執行に立ち会ったルバイエ国家安全保障担当顧問は30日、米CNNで現場の様子を明らかにした。

 「元大統領は、イラク時間午前5時半(日本時間午前11時半)ごろ米軍からイラク側に引き渡された。米軍関係者は引き上げ、処刑には立ち会わなかった。元大統領は手錠をかけられた状態で処刑用の部屋に入れられた。手にはコーランを持っていた」

 「判事、医師、司法次官、内務次官、首相顧問らが同席、判事が罪状を読み上げた後、元大統領との間で二言、三言のやり取りがあった。元大統領は抵抗しなかったが完全に壊れていた」

 「絞首されるため上の階に上がるとき、頭に黒布をかぶることを拒否した。私(ルバイエ氏)に向かって、『こわがることはない』と言ったが、自分に言い聞かせるようだった」

 「元大統領は死刑執行後、まもなく死亡した。午前6時ごろだった。遺体の周囲を一部の立会人が踊ったのは事実。親族らを殺された人たちにとっては自然な反応だった」

NIKKEI NET 2006/12/30 (15:52)

真相より報復優先? フセイン元大統領処刑 拙速批判も

 フセイン元大統領の処刑が伝わり歓喜の声をあげる在米イラク人たち=AP

 フセイン元イラク大統領に対する裁判の公平性への国際社会からの批判にもかかわらず、30日に死刑執行が断行されたことで、旧フセイン政権による数々の犯罪の真相は闇に葬られ、イラクの今後に大きな禍根を残したと言えそうだ。

 新生民主国家としてのイラクが、フセイン政権の犯罪の全体像をきちんと公正な裁判で検証し直すことは、4半世紀にわたり同国を支配した独裁政権の時代の「負の遺産」を清算して未来に向かうために当然必要な手続きだったはずだ。

 だが、元大統領が実際に最後まで裁かれたのは、比較的小規模な1982年のイスラム教シーア派虐殺事件「ドゥジェイル事件」のみ。処刑により、審理中だった80年代末のクルド人虐殺事件での訴追は打ち切られる。また、90年のクウェート侵攻や、91年の湾岸戦争後のシーア派弾圧といった大きな事件は起訴すらされずに終わった。

 控訴審に期限は設けられておらず、ドゥジェイル事件の判決確定を他の事件の結審まで遅らせることは法的に可能だったが、高等法廷はわずか2カ月足らずで控訴審を結審させ、早期死刑執行に道を開いた。

 さらに、裁判は当初から、スンニ派勢力などから「米国の利益のための裁判」「フセイン政権に弾圧されたシーア派とクルド人による報復裁判」と批判されたが、そうした批判を封じるのは、公明正大な裁判で元大統領らをきちんと裁くことによってのみ可能だった。

 しかし実際には、唯一結審した「ドゥジェイル事件」の裁判の公平性について国連や人権団体から批判が続出。死刑を執行しないよう求める声が国際社会で広がっていた。それに挑戦するかのように、拙速とも言える処刑に踏み切ったことで、真相解明より「報復」を優先したとみられかねない。(時事)

2006年12月30日15時23分 asahi.com

イラク政府、元大統領の処刑時の映像公開へ

 【バーレーン=加賀谷和樹】イラク政府は30日、フセイン元大統領の絞首刑執行時の映像を公開する方針を明らかにした。イラク政府は元大統領が確実に処刑されたことを国民に示す必要があると判断、内外のメディアに対して映像を提供する。

 アラブ諸国では日ごろから遺体の映像が新聞、テレビなどで報道されており、元大統領の処刑の瞬間の映像も流されると見られる。

 米CNNは映像を入手した場合、最高幹部らが放映の可否を判断。放映する場合も、視聴者に対して事前に内容を警告するとしている。

 死刑執行直後、立会人らがフセイン元大統領の遺体の回りで喜んで踊ったとの報道もある。

NIKKEI NET 2006/12/30 (14:07)

フセイン元大統領の絞首刑執行 一部画像を公開 イラク

CNN200612300004.jpgバグダッド──イラク政府のルバイエ国家安全保障問題顧問は30日、死刑判決が確定していたサダム・フセイン元大統領(69)の絞首刑が同日、執行されたと述べた。国営テレビで明らかにした。執行は、同日午前6時(日本時間同日正午)ごろだった。同顧問は執行に立ち会ったという。

これより先、イラクの米国系テレビ局アル・フーラやアラビア語の衛星放送アル・アラビヤが執行を伝えていた。執行場所などの詳細は不明だが、首都バグダッド中心部にあり、警備が厳重な通称「グリーン・ゾーン」から離れた場所で実施されたという。同顧問はアル・アラビヤに対し、情報機関の施設内で実行された、と語った。顧問は、「フセイン(元大統領)の時代は永遠に終わった」とも強調した。

執行はビデオや写真撮影され、メディアに一部の映像が提供され、首に縄がかけられる場面がテレビで放映されるなどした。12月26日に死刑判決を確定させていた控訴院の判事は、人権問題を考慮し、死刑執行はテレビで実況されない、と述べていた。マリキ首相や米国の関係者は執行に立ち会わなかったという。

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フセイン裁判 スピード執行で正当性に疑問の声

 【ニューヨーク=長戸雅子】イラクのフセイン元大統領に対する死刑が判決確定からわずか4日で執行されたことで旧フセイン政権の犯罪を裁くイラク特別法廷の正当性が改めて問われている。国家指導者の犯罪はミロシェビッチ旧ユーゴスラビア大統領(故人)のように独立性や公正さを確保できる国際法廷で裁かれるのが一般的だからだ。

 しかし、フセイン元大統領のケースでは国際刑事裁判所(ICC)に署名していない米国が主導。フセイン政権時に弾圧されていたイスラム教シーア派、クルド人勢力が自国内でのイラク人による訴追を希望していたことにも配慮したと指摘されており、「勝者の裁き」との批判は避けられない側面がある。

 米軍の占領統治中に特別法廷の設置が決まった。「イラクの法廷」でありながら米国の法律専門家ら多数が参加し、法廷の運営資金の多くを米国が負担した。

 国連は昨年10月、こうした米国の深い関与をとらえ特別法廷の正当性に疑問を投げかけ、国連による独立法廷を設置すべきだとの専門家の報告書を公表した。

 国際人権団体ヒューマンライツ・ウオッチ(本部・ニューヨーク)は犯罪の立証は不十分との見方を示し、「イラク国民に司法手続きが十分説明されていない」ことにも疑問が提示されている。

 また、ルバイエ国家治安顧問が、フセイン元大統領の控訴棄却を高等法廷の発表前に明かしたことを「司法への政治介入」と批判し、「不公正な訴訟指揮の下で出された結論だけに、イラク政府は刑を執行すべきでない」と訴えていた。

 このほか、審理中に被告側弁護人や判事の親類らが殺害される事件が相次ぎ、対立が続くイラク国内に法廷を設置していることも問題視されていた。

Sankei Web (2006/12/30 13:13)

フセイン元大統領の死刑執行

 イラク国営テレビで放映されたフセイン元大統領(AP)

 【カイロ=村上大介】イラクのフセイン元大統領(69)に対し、30日午前6時(日本時間同日正午)前、バグダッド北部で絞首刑による死刑が執行された。AP通信によると、イラク国営テレビは同日、「犯罪者フセインは絞首刑に処された」と伝えた。4半世紀にわたってイラクを強権政治で支配、統治してきたフセイン元大統領は、イラク戦争後の米軍による拘束から3年を経て、“犯罪者”として69年の生涯を終えた。

 イラク国営テレビは「サダムの処刑は、イラクの歴史の暗い時代に終止符を打った」と伝えた。同テレビは処刑の模様を撮影したとしており、処刑には米軍関係者や聖職者などが立ち会ったという。

 ただ、フセイン元大統領の死刑執行で、事実上の内戦状態ともいえるイラクの治安情勢は今後、さらに不安定化する可能性もある。エジプトやサウジアラビアなどの周辺のスンニ派アラブ諸国などでは、死刑執行で、イラク国内の宗派抗争やスンニ派過激派のテロが起こるとの懸念が広がっている。

 フセイン元大統領は1937年、イラク北部のティクリート生まれ、79年7月に大統領に就任した。イラン・イラク戦争(80−88年)を経て、90年には隣国のクウェートに侵攻、湾岸戦争(91年)で米軍を中心とする多国籍軍と戦った。イラク戦争後、イラク国内に潜伏していたが、2003年12月、米軍により発見、拘束された。

 04年7月に特別法廷により戦争犯罪容疑で告発されたフセイン元大統領は、1982年にイスラム教シーア派住民ら148人を虐殺した罪で起訴され、今年11月5日、1審で旧政権幹部2人とともに死刑判決を受けた。同元大統領は控訴したが、26日にイラク高等法廷で、棄却され死刑が確定。同法廷は30日以内の判決実施を表明していた。

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