露で「暗殺」「誘拐」頻発 恐怖政治再来を警戒 米、治安機関の介在示唆
【ワシントン=山本秀也】米国務省が6日発表した国別の人権状況に関する年次報告(2006年版)は、旧ソ連の政敵粛清を思わせるロシアでの暗殺や誘拐に例年にない警戒感を示した。これまで「ロシアをあきらめるな」を合言葉に強権支配を強めるプーチン政権との協調維持を模索した米国だが、こと人権状況に関しては米露の溝が覆い難くなってきたことを報告は浮き彫りにした。
昨年のロシアに関する「特筆すべき人権状況」として、報告はコズロフ中央銀行副総裁やチェチェン問題を追及した女性ジャーナリスト、ポリトコフスカヤ氏の殺害を冒頭で指摘した。ポロニウムによる毒殺が判明した元ロシア情報機関員、リトビネンコ氏のケースも報告に盛り込まれた。
政敵や都合の悪いジャーナリストの殺害について、報告は「暗殺型」として政治目的の介在を強く示唆。誘拐や行方不明については、よりはっきりと「人権侵害への治安機関の関与」を指摘している。
治安機関に関しては、被疑者らに対する警察の日常的な暴行や拷問、司法機関のチェックを拒む情報機関の不透明な活動が指摘された。国務省の報告は刺激的な表現を抑えているが、列挙された記録からは旧ソ連の国家保安委員会(KGB)を使った恐怖政治の再来を米側が意識していることがうかがえる。
国家機関による人権侵害を許す政治構造として、報告は「強大な大統領権限の下での弱体な複数政党制」に言及し、プーチン大統領の独裁強化が根底にあるとの見方をにじませている。
報告はこのほか、北朝鮮に関して「政府が重大な人権侵害を犯している」と厳しい評価を示しているが、突出した批判を避けて、拉致問題でも日朝の交渉経緯を簡単に記録するにとどめるなど、米朝関係に配慮したともとれる内容となった。


